【バイク(二輪車)の交通事故や致死率、危険性について】≪年代別、時間別、月別の事故数≫安全にバイクに乗る為にヘルメットやプロテクター、ルール遵守は必須!

はじめに

 乗り物の事故は本当に怖いですよね。自動車やバイクに限らず、交通事故は自転車や歩行者にも起きます。どの手段で移動していたとしても、自分だけでなく周りの命を守る為に交通ルールは必ず守りましょう。

 今回はバイク(二輪車)に焦点を当てて書いていこうと思います。「自分はバイクに乗っていないが家族が乗っている」という方も、家族の命を守るためにバイクの交通事故の現状を知っておくのは大事かと思います。

 もちろんバイクは移動手段に必須なものですし、そもそも楽しいものです!!いつまでも事故を起こさず「楽しいもの」として利用する為には「安全運転」や「ルール遵守」、「体を守る為の装備」が必須です。楽しく乗り続ける為に、正しく安全な情報を持って運転していきましょう!!

●バイク(二輪車) の致死率は自動車の〇倍

 最初に衝撃の事実を紹介しておきます。バイクが事故した際の致死率は、なんと自動車の3~4倍です。この数字、結構衝撃的ではありませんか?

 もちろん自動車の利用者数の方が多いので、事故数に関しては自動車の方が多いです。が、実際事故が起きてしまった時に死亡してしまう確率は車の4倍にも確率が上がります。

 2024年まで記載されている、年別の二輪車交通人身事故についての表を添付します。これは警視庁が出している情報です。

二輪車の交通人身事故発生状況(令和6年) 警視庁ホームページ より引用

 2024年には6,023件のバイク事故が発生、その内38人が死亡事故に繋がっています。2024年の致死率は、この表から計算すると約0.6%です。

●年別、月別、年齢別、時間帯別の事故

 ではどういった状況でバイクの事故は起こるのでしょうか。

若年層が事故をする?深夜帯の事故が多い?連休の事故は?警視庁のホームページから、この全ての情報を見る事が出来ます。下記のグラフをご覧ください。

〇月別の事故・死者数

二輪車の交通人身事故発生状況(令和6年) 警視庁ホームページ より引用

 まずは「月別の事故数」です。事故発生件数は12月、次いで11月が多くなっています。

ですが、死者数でいえば5月、次いで11月が多いです。5月になぜ死亡者数が多いのか、恐らく原因はさまざまあると思います。

 筆者が個人的に5月の事故で多いなと感じるのは新小学生の事故です。「通学」というものが新たに始まり、交通事故の危険性を理解していない子供たちの飛び出し事故等が増えるのでは無いかと感じています。新たな学年になり、通学に大人の同行が必要無くなった時の小学生の事故はかなり多いと聞いたこともあります。

 お子様がいらっしゃる方はかなり気を付けて子供たちに交通の危険性やルールを教えていってあげてください。

 それ以外にも仕事で運転する方。5月になり「慣れ」てしまい注意力散漫になること、そしてゴールデンウィークで交通量が増えること、といった原因もあるのではないでしょうか。

 「5月、11月は死亡事故が多い!」という事実を頭の隅に置いておくだけでも、注意力は増すと思うので是非覚えておいてください!

〇時間帯別の事故・死者数

二輪車の交通人身事故発生状況(令和6年) 警視庁ホームページ より引用

 では続いて「時間帯別の事故数」です。発生件数、死者数共にTOPになっているのが18~20時の時間帯です。夕暮れ時で視界が悪くなりますし、通勤・通学の時間帯と重なって交通量が増える事が要因として考えられますね。

 その次に死亡者数が多いのがなんと朝の4~6時の時間帯です。日の出前1時間半ほどの時間で、この時間帯は「薄明時間帯」とも呼ばれます。太陽は見えないけれど、光が散乱して空が薄明るく見える時間帯ですね。影が強く出て物体の輪郭が見えにくくなるので、ドライバー、ライダーからは相手の存在に気付くのが遅れやすいと言われています。

 そしてなんといっても、かなりの早朝に活動しているという事から、疲労や寝不足の方が比較的多いのではないかと思います。集中力、判断力が低下しますし、交通量がまだ多くない時間帯なのでスピードも出しがちです。

 この時間帯に活動される方、活動している家族がいる方はどうか気を付けていただきたいものです。

〇年齢層別の事故・死者数

二輪車の交通人身事故発生状況(令和6年) 警視庁ホームページ より引用

 では続いては「年齢層別の事故数」について。事故数で見ると多いのは50歳代から40歳台、次いで30歳代と中年層に集まっています。

 ですが死亡者数で見ると、50歳代と同率1位になっているのは20~24歳の若年層です。25歳以降からは死者数が下がる事から、20代前半の経験の浅さや意識の違いが顕著に表れているのではないでしょうか。

 20代前半ではまだ運転経験も浅く危険予測や車両操作の技術も低いですし、自信過剰な無謀な運転をする人も多いと思います。(年代に限らずそういった人は一定数いますが…)20代半ばを過ぎ、安全重視で冷静な判断が出来るようになる人が増えるという事から、20代前半の事故数・死亡者数が多い傾向にあると思われます。

 50歳代に関しては「身体能力の低下」と「長年の慣れ」、そして「大型バイク志向」が関係していると思います。加齢に伴って視力・聴力・動体視力・反射神経、あらゆる身体能力が落ちていくので、危険を察知する速さもそこから回避行動を取るまでの「反応速度」にも遅れが出てきます。つまり「瞬時の判断が遅れる」という事です。また、長年バイクを乗っている方だと「慣れによる油断」も招きます。「慢心」は運転手にとって命とりです。そして「大型バイク志向」。経済的、時間的余裕によって大型バイクに乗る人が多い気がしますが、大型バイクはスピードが出やすいので事故の時の衝撃も大きくなり致死率が高くなります。スピードを出し過ぎるのは要注意です!!

バイクを安全に乗る為に

 ではこういった事故を防ぎ、命を守るために何ができるかをご紹介します!!

「バイクなんて乗らないのが一番じゃないか!」と、思う方もいるかもしれませんが(特に大事な家族が乗っているという方)、バイクが大好きな人にとったら「乗らない」という選択肢はありませんよね。どれだけ自分が気を付けていても事故に遭ってしまう時はありますが、その可能性をできるだけ最小限に抑えるために、そして自分の事を大事に思っていてくれている人のために、バイクを正しく安全に楽しんでいきましょう!

 バイクを安全に乗るために最低限大事なのが、「事故に遭った際に体を守るモノ」です(ルール遵守は最低限どころではないですよ!当たり前です)。

 ヘルメットやプロテクターですね。夏になると半袖短パンでバイクに乗っている人を良く見かけますし、ましてやヘルメットすらしていない二人乗りの若者も最近見かけました。そういうライダーを見ると、「もし事故に遭ったら…」と考えずにはいられません…。

二輪車の死亡事故統計 警視庁HP より引用

 こちらは2024年度の致命傷部位、そして過去5年間の致命傷部位をグラフに表したものです。2024年度では「胸部」の割合が最も高くなっていますが、過去5年間の平均で取ると「頭部」の割合が最も高くなっています。「頭部」と「胸部」に致命傷を負ってしまう確率がかなり高いという事です。これでヘルメットとプロテクターの重要性がはっきりと分かりますね!!

ヘルメットは排気量に関わらず全てのライダーに着用が義務付けられています。

≪道路交通法 第71条の4≫

1.大型自動二輪車又は普通自動二輪車の運転者は、乗車用へルメットをかぶらないで大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転し、又は乗車用へルメットをかぶらない者を乗車させて大型自動二輪車若しくは普通自動二輪車を運転してはならない。
2.原動機付自転車の運転者は、乗車用へルメットをかぶらないで原動機付自転車を運転してはならない。
道路交通法 第71条の4から抜粋

 ヘルメットの基準に関しては道路交通法施行規則 第9条によって7項目が記載されています。

≪ヘルメット着用基準≫

1:前後左右・上下の視界が十分であること
2:風圧により視界が妨げられない構造
3:聴力を損なわない構造
4:衝撃吸収・耐貫通性
5:あごひもで衝撃時に脱げないこと
6:重量2kg以下
7:危険な形状でないこと  

 ちなみにフルフェイスではなくハーフキャップのヘルメットもありますが、こちらは致命傷を負う可能性が高いのであまりおすすめはしません。特に中型・大型ではフルフェイスの方が絶対にいいです。

二輪車事故とヘルメット 交通事故総合分析センター より引用

 この表を見ると、ヘルメット着用時の頭部損傷が30%に比べ、非着用の場合は67%と2倍以上の差が出ている事が分かります。事故に遭った際にヘルメットが脱げないようにしっかりと着用する事も大事です。

≪頭周りの事故数(ヘルメット種別)≫

二輪車事故とヘルメット 交通事故総合分析センター より引用

 こちらはヘルメットの種類によって頭周りの死亡事故に繋がった件数です。分かりやすく表にしてみましょう。

ヘルメットタイプ事故件数死亡事故数致死率
フルフェイス8410約12%
ハーフ529約17%

 このように、フルフェイスに比べてハーフヘルメットの方が致死率が高い事が分かります。

 プロテクターに関しては、法律では義務化されていません。なので半袖・短パンで腕足丸出しでも法律上では問題ありません。(見ているこっちがひやひやしますけどね!)

 ですが、法律で定められていなくても警察や交通事故総合分析センターではプロテクターの着用を強く推奨しています。それだけ事故に遭った際の致命傷率が変わるという事でしょう。

 プロテクターでなくても、長袖長ズボンの着用は推奨されています。転倒や滑落の際に露出している部分があるのと無いのとでは負傷のリスクがかなり違います。夏は直射日光に晒されるので、紫外線予防にもなりますね。

 そもそも長袖長ズボンは教習所では必須だと習う人の方が多いのではないでしょうか?義務化されていなくても、それだけ長袖長ズボンは安全運転の基本だという事ですね!周りのドライバーも冷や冷やするので是非長袖長ズボン、ヘルメット、最低限自分を守る装備を身に着けてバイクを楽しんでいきましょう!

まとめ

 ここまでバイクの危険性と安全について紹介してきました。バイク走行時にヘルメットを付けていないと、違反点数は1点加算されます。反則金や罰金はありません。「1点!!」と筆者は思います…。死亡率を見たら違反点数1点はあまりにも小さすぎるような気がします…。

 ちなみに後ろに同乗者を乗せる場合、その同乗者にもヘルメット着用の義務があります。同乗者がヘルメットを着用しなかった時に責任を負うのは運転手です。事故に遭った際に頭部を守る事は最も大事な事だと言えます。必ずヘルメット着用の上、これからもバイク人生を楽しんでください!